ポルシェのロゴ

フェラーリに「跳ね馬」エンブレムが使われるようになった理由

フェラーリの象徴ともいえるのが、ロゴに使用されている「跳ね馬」のエンブレムです。その起源は、第一次世界大戦までさかのぼることができます。

当時、空軍に所属していたフランチェスコ・バラッカ伯爵は、わずか数年で34機もの撃墜数を誇るエースパイロットであり、「撃墜王」と称された英雄でした。彼は、自身の戦闘機に、黒い跳ね馬をモチーフにした紋章を掲げていたといわれています。

ではなぜフェラーリが「撃墜王」のロゴマークを使っているかというと、バラッカ伯爵が戦死した後に、エンツォ・フェラーリがバラッカ伯爵の母親パオリーナ夫人と出会ったからです。パオリーナ夫人はエンツォを見てバラッカ伯爵の面影を見出し、「息子が使っていた紋章を使ってほしい」と願い出たのです。これが、フェラーリの跳ね馬マークの由来といわれています。

フェラーリとポルシェの跳ね馬は同じルーツか?

ところで、皆さんもお気づきかもしれませんが、跳ね馬のエンブレムを使っている自動車メーカーはもう1つあります。ポルシェですね。

フェラーリとポルシェのロゴは、同じルーツを持つとする説もあります。バラッカ伯爵が撃墜した敵の飛行機がシュトゥットガルト市の紋章を付けていたので、これを気に入ったバラッカ伯爵が持ち帰ったという説です。

「フェラーリとポルシェのロゴはルーツが同じ」という説は長年信じられてきましたが、今はフェラーリの跳ね馬は幸運のマークとして使われていただけという説が有力です。伝説に近い話ではありますが、ロマンにあふれていますね。

フェラーリのシンボルマーク「跳ね馬」の変遷

さて、バラッカ伯爵が使っていたエンブレムは、白い背景に赤い馬が描かれていました。しかし、フェラーリがこのエンブレムを採用する際に、馬の色は黒に、背景はエンツォ・フェラーリの出身地であるモデナを象徴する黄色に変えられました。更に馬の尾の向きも上向きに変更され、より力強さを表現するようになりました。

エンブレムの文字にも、時代ごとの変遷を見ることができます。「SF」の文字は、エンツォ・フェラーリが率いたレーシングチーム、スクーデリア・フェラーリの頭文字です。また、馬の上に描かれている三色のストライプは、イタリアの国旗を表現しています。

エンブレムの形状は、長方形から盾型へと何度か変遷しており、それぞれの時代の文化やデザイン傾向が反映されています。特に1961年から1989年の間には、エンブレムの文字が「SF」から「Ferrari」に変更され、フェラーリブランドがさらなる高みを目指そうとする意志が感じられます。フェラーリのロゴは、ブランドイメージの成長と共に進化してきたのです。