「赤い頭」を意味するテスタロッサ
1984年にテスタロッサは発表されました。テスタロッサという名前は、イタリア語で「赤い頭」を意味します。この名前は、フェラーリのレーシングカー250TRと500TRのエンジンカムカバーが赤く塗られていたことから名付けられました。そのフラッグシップモデルは、それまでのフェラーリ・512BBiからその座を引き継ぎました。
テスタロッサの存在は、フェラーリのブランドイメージに大きな影響を与えたといえるでしょう。1980年代のテレビ番組「特捜刑事マイアミ・バイス」に登場したことで、その認知度をさらに高めました。その美しさと機能性を両立するデザインは、世界のスポーツカーファンに対して新たな可能性を示す存在ともいうべきものでした。
驚異的なエンジン
テスタロッサの心臓部は、バンク角180度のV型12気筒エンジンで、4.9リッターの排気量があります。燃料供給はBosch製のK-Jetronicで、4バルブ化されて吸気効率が向上しています。つまり、エンジンはより効率的に空気を吸い込み、よりパワフルな爆発を起こせるということです。このエンジンのおかげで、テスタロッサは最高速度300km/hを誇り、0から100km/hまでの加速はわずか5.8秒でした。
デザインとパフォーマンスを兼ね備えていた
ピニンファリーナのデザインによるテスタロッサは、前述したように「特捜刑事マイアミ・バイス」に登場し、その美しさが世界中に知られることとなりました。リフェンダーは大きく膨らみ、ドアからリアフェンダーにかけてスリット状のエアインテークが設けられ、エンジン冷却のための空気を効率よく供給できるだけでなく、きわめて個性的で美しい流線形を描いていました。
キャビン居住性も考慮されており、乗員の快適性を損なうことなく、エンジンはリアアクスル周辺に配置されました。走りの快適さと操縦性の良さを追求する姿勢は、レーシングカーを手がけるフェラーリらしいこだわりです。
デザインは進化を続け、1986年にはミラー位置が変更されたり、ホイールの固定方式やサスペンションが改良されたりして、テスタロッサは進化を続けました。テスタロッサの進化の旅は、1991~1992年に登場した512TRを正式な後継モデルとして登場させたことにより終了しましたが、テスタロッサという名はフェラーリの歴史に刻まれ、今日でも愛され続けています。